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アルツハイマー病用遺伝子ワクチン

急速な高齢化社会を迎えつつある日本では、65歳以上の老人の約10%が認知症であると報告されています。アルツハイマー病は、認知症疾患の二大原因の一つでその約50%を占めるにもかかわらず有効な治療法はなく、患者自身のQOL(Quality of Life:生活の質)や介護問題も含め大きな社会問題となっています。

世界的にも先進国には約1,500万人もの患者がいるといわれており、世界保健機構の予測では、20年後には3,700万人に達するとされています。

アルツハイマー病の予防と治療法は今日最も求められているものの一つですが、現在有効とされているアセチルコリンエステラーゼ阻害薬でさえ、軽度・中度の患者の何割かのみに、しかも部分的しか効果を示さず、最終的な病状の進行阻止に有効か否かについては否定的な意見も多くあります。さらに、これらはアルツハイマー病を根本から治す治療薬ではないため、服用を中止すると元の症状に戻るという問題もあります。

アルツハイマー病の病態仮説としてはアミロイドβ (amyloid-β, Aβ) タンパクの凝集・沈着による老人斑の形成を原因とする「アミロイドカスケード理論」が有力であり、臨床的にも確認されています。この考えをもとに、アルツハイマー病の新しい治療法としてのワクチン(免疫)療法が注目されております。Aβペプチドをワクチンとして投与し、Aβに対する抗体を体内で生産させ、その抗体のFcレセプターを介したミクログリアによる貪食により脳内の老人斑を除去し、さらに分泌されたAβの凝集・沈着を抑制することにより神経細胞の脱落を防止しようという戦略であります。Elan社(アイルランド)-Wyeth社(米国)が行ったAβペプチドを用いたワクチン療法の臨床試験では、老人斑を除去する有効性が示され、高次脳機能についても改善結果が見られていると考えられています。しかし、6%の患者で髄膜脳炎の副作用が報告されたため臨床試験は中断されました。

当社は、より安全で効果的な免疫療法の提供を目指して、Aβを発現するセンダイウイルスベクターを用いたワクチン療法の共同研究を国立長寿センター研究所と実施し、モデルマウスを用いた前臨床研究では、従来の治療法に比べて著しく高い老人斑減少効果を得ることに成功しております。特に、当社が開発したワクチンでは、従来のAβペプチドとアジュバントの併用法で免疫した場合に問題になっていた髄膜脳炎が観察されず、安全性も担保できる可能性が高い画期的なデータを示しております。

このセンダイウイルスベクターを用いたアルツハイマー病のワクチン療法が確立されれば、有効な治療法のなかったアルツハイマー病型認知症患者を救済するだけでなく、高齢者の生活向上や介護問題の大きな改善、医療費の削減など多くの社会的貢献が期待されます。さらに、最近PET(ポジトロンCT)あるいはMRI(磁気共鳴画像装置)などの画像データを利用したアルツハイマー病の早期診断技術開発が盛んに行われており、すでに臨床研究段階にあるものもあります。この早期診断と我々の効果の高いワクチン療法を組み合わせて、発症初期に根治的治療を提供することにより、本人、家族ならびに社会的負担を大きく軽減できるものと考えています。

さらには予防的ワクチンとして使うことができるようになれば、正に、かつて中年以降の重要な疾患であった高血圧がほぼ完全にコントロールできるようになっているように、アルツハイマー病も本ワクチンによってコントロールできる可能性が出て来ます。

  1. 適応疾患

    アルツハイマー病

  2. 作用機序

    Aβを発現するセンダイウイルスベクターをワクチンとして投与し、Aβに対する抗体を体内で産生させ、抗体やそれによって刺激される免疫細胞によって脳内Aβが除去され、さらに体内で生産、分泌されるAβを補捉することでその凝集・沈着を抑制して神経細胞の脱落を防止します。